日本列島の南に伊豆・小笠原海溝が真直ぐ伸び、その先にマリアナ海溝が弓なりに連なっている。この海溝に東から押し寄せて来た太平洋プレートがもぐり込んで海溝の西側、即ちフイリッピン海プレート側に沿って七島・硫黄島海嶺が盛り上がり、その上に北マリアナ諸島等の火山島が連なっている。プレートにかかる圧力で生じた割れ目から火山岩が噴火してこれらの島々が生まれた。 前にも述べたように、地球の温度が上がると両極の氷が溶け、海面が上昇すると幾つかの島は波に浸食されて海面下に没して海山になり、その表面は厚いサンゴに覆われる。再び、地球の温度が下がると海面が下がり、死滅したサンゴの石灰石の嶺を持った島々が姿をあらわす。この時再び噴火すると、古い島の石灰石を突き破って、堅い溶岩の新しい嶺を持った島に変身する。 九州からは南西諸島が、フイリッピン海プレートが沈み込むユーラシアプレートの縁に沿って連なっている。その先端の八重山群島(地図参照)で見ると、サンゴ石灰岩が卓越した波照間、黒島、竹富、鳩間、新城等の諸島は極めて平坦で、水はけがよく稲作に適さない一方、火山岩が卓越している石垣島、西表島、小浜島、与那国島は山が多く変化に富み、保水力に優れているので稲作が可能である。前者は再噴火の機会に恵まれず石灰岩に覆われたままとなり、後者は再噴火して噴出した火山岩が島を再構築したのである。 同じ火山島でも、伊豆大島の三原山のような比較的新しい火山は水はけがよい。 中村一明著「火山の話」(岩波新書35)によれば、次のごとくである: ■ 新しい火山体の大島には透水層ばかりで、長時間にわたって多量の水を支えるような不透水層は、ほとんどないということである。そしてその度合は、粗い堆積物が多いほど、つまり火口に近いほど大きいということになる。こういうわけで、大部分の雨水はそのまま地下にもぐってしまう。 ガサガサの大島の下には、海の水も内陸に向かって高さを減じながら山体下に入りこんでいる。 ところで、一年に三千ミリ、島全体とすれば二億トン以上の雨水は地下にしみこんで、この「地下の海面」の上にいったん薄く層状にたまるもののようである。これは、雨水の方が多量の塩分を溶かしている海水よりも軽いためである。多少海水と混じることはあっても両者の分離はかなりよい。大島の、特に元町など西部では、水道水としてこのような地下水が大規模な井戸で汲み上げられ使われている。「地下の海面」上に浮いているこの種の地下水は、汲みすぎると当然海水が混じってなんとなく塩っぽくなってくる。脱塩のための設備が出来る前には、観光客の多い夏の季節に時々そういうことが起こった。 島の周りのサンゴ礁や円形に連なった環礁はどのような過程で形成されるのだろうか。竹富島の珊瑚博物館に次の解説があったので、紹介する。